相続登記を自分でする場合のメリット・デメリット

文責:所長 弁護士 大澤耕平

最終更新日:2024年06月26日

1 相続登記を自分でするメリット

 相続登記を自分でする最大のメリットとしては、専門家に依頼する費用が掛からないため、コストを抑えることができることです。

 基本的に、相続登記を専門家に依頼する場合、不動産の個数や相続人の数等によっても異なりますが、10万円~20万円程度の費用がかかる場合があります。

 そもそも、相続登記を行うためには、被相続人(亡くなった方)が生まれてから亡くなるまでの一連の戸籍謄本や相続人の戸籍謄本、住民票、遺産分割協議書や遺言書、印鑑証明書等が必要になります

 これらの書類を集めて、相続登記の申請書と共に、管轄する法務局に提出する必要があります。

 このように、相続登記を自分で行う場合は、資料の収集などに時間と労力がかかりますが、それでも自分で行う場合は、専門家へ支払う費用が掛からないため、メリットがあります。

 なお、相続登記の詳細については、法務局のホームページもご参照ください。

 参考リンク:法務局・相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ(登記手続ハンドブック)

2 相続登記を自分でするデメリット

 相続登記を自分でするデメリットしては、①時間と労力がかかること、②申請書に誤記があると何度も法務局に行かなければならないこと、③登録免許税を安くする有利な特例の存在を見逃してしまう可能性があることなどがあげられます。

① 時間と労力がかかること

 繰り返しとなりますが、相続登記を行うためには、様々な書類を集める必要があり、時間と労力がかかります。

 専門家であっても、相続登記を行うのには3か月程度かかることがあり、ご自身で行う場合は、必要書類の内容や書類の集め方、遺産分割協議書の作成方法等を一から調べて行う必要があり、場合によっては、相続登記を行うのに6か月ぐらいかかる場合もあります

 また、不足書類があると、相続登記の申請を行ったとしても、却下されてしまう可能性があるため、注意が必要です。

 

② 申請書に誤記があると何度も法務局に行かなければならないこと

 相続登記の申請書に誤記があると、申請書を修正するために、法務局に行く必要があります。

 そもそも、申請書を作成するためには、相続に関する専門的な知識が必要となり、専門家であっても間違えてしまう場合もあります。

 また、軽微な誤字がある場合でも、相続登記を受け付けてくれない場合があります。

 さらに、法務局は平日の日中しか開いていないため、平日に仕事をされている方であれば、わざわざ有休を取得するなどして対応しなければなりません。

 

③ 登録免許税を安くする特例を見過ごしてしまう可能性

 相続登記には、登録免許税を安くする2つの特例があります。

 相続により土地を取得した方が相続登記をしないで死亡した場合の登録免許税の免税措置と、不動産の価額が100万円以下の土地に係る登録免許税の免税措置の2つです。

 この特例を使えるかどうかによって、登録免許税が数万円も変わる場合もあります

 これらの特例については、申請書に適用について記載していないと、そもそも特例を受けられなくなってしまいます。

 この2つの特例については、専門家であっても見落としてしまう場合があり、また、特例を適用できるケースで、申請書に特例の適用が記載されていなかったとしても、基本的に法務局は、この特例の存在について教えてくれません。

 また、特例の適用期限も決まっているため、期間にも注意が必要です。

 特例の詳細については、以下の法務局のホームページもご参照ください。

 参考リンク:法務局・相続登記の登録免許税の免税措置について

3 相続登記は専門家にご相談を

 このように、相続登記をご自身で行う場合、専門家への手数料がかからない反面、かなりの時間と労力がかかり、また、申請書に誤記がある場合は、さらに労力がかかり、登録免許税を抑える特例の存在や適用方法を知らなければ、特例を使うことができなくなるなどのデメリットがあります。

 また、相続登記については、漏れなく行う必要があり、他に名義変更をし忘れていた不動産がある場合は、追加で相続登記を行う必要があります。

 そのため、相続登記に関しては、専門家にご依頼された方が迅速かつ確実に手続きができるため、相続登記についてご不安な場合は、一度、専門家にご相談されることをおすすめします。

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